皆さんは複雑に混在したデータをグループ別する際にどのようなツールを活用しますか?
このグループに分類して特徴を見つけるツールとして層別があります。
層別はデータを利用するときに用いられる最も基本的な手法であり、問題解決の幅広い分野で活躍しています。
本記事では層別の考え方やメリット・ポイント・手順について分かりやすくまとめてみました。
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層別とは
得られたデータから有益な情報をいかにして取り出せるかはデータの見方によって異なります。
得られたデータ=結果とひとくくりにしてしまうと手がかりとなる情報を見逃してしまう可能性があります。
そこで層別を活用していく事で予想外の情報にたどり着くことは勿論、問題点の分析や改善におおいに役立つ場合があります。
ー層別とは【JIS Z 8101-2】-
「母集団をいくつかの層に分割すること。層は部分母集団の一種で、相互に共通部分を持たずに、それぞれの層を合わせたものが母集団に一致する。目的とする特性に関して、層内が均一になるように層を決定する層別を層化ともいう」
「母集団をいくつかの層に分割すること。層は部分母集団の一種で、相互に共通部分を持たずに、それぞれの層を合わせたものが母集団に一致する。目的とする特性に関して、層内が均一になるように層を決定する層別を層化ともいう」
このように母集団からのデータを分類化し共通点や特徴を見つける手法を層別といい、分ける基準には設備別・作業別などが挙げられます。
層別のデータの分け方
分け方としては、上述のようにデータを同じ共通点や特徴を持っているいくつかのグループに分けることです。
層別の方法としては以下のように4M+環境・測定で分類するといいでしょう。
1)原料で分ける
メーカー別、サイズ別
2)機械で分ける
工程別、工具別
3)人で分ける
年齢別、男女別
4)時間で分ける
時間別、週別
5)環境
作業場所、温度
6)測定
測定器、測定方法
層別の重要性・メリット
さて層別とは簡単に言うと「分類化して比較を行い、違いを見つける事」でした。
それではなぜ分類し、それを比較する事が大切なのでしょうか。
物やデータには何かしらの特徴があり、これらの事は「分類すれば、発見できる」事が多く、この事は品質管理の根幹と言ってもいいでしょう。
【層別っていつ使うの?】
・個々の違いを知りたい時
・問題を解決したい時
・実態を把握したい時
【層別から知る事・出来る事】
・項目の違い・特徴の把握
・共通点の発見
・重点項目の発見
・異常項目の発見
・個々の違いを知りたい時
・問題を解決したい時
・実態を把握したい時
【層別から知る事・出来る事】
・項目の違い・特徴の把握
・共通点の発見
・重点項目の発見
・異常項目の発見
層別のポイント
層別は共通点や特徴ごとに分類しますが、その時のポイントとは何でしょうか。
目的と注意点について触れていきたいと思います。
層別の目的
問題の発生状況の把握
発生した問題の状況を把握するために、得られたデータに対して層別を行います。
問題であろうと思われる原因の把握
問題の原因を把握するために、データに対して層別を行います
これらのように特性要因図などに活用される4M+測定・環境などを意識していくといいでしょう。
層別の注意点
層別で分類する際には的確さが決め手となります。
この的確さを実現するために効果的な情報収集するためには以下4点を注意していきます。
1)過去データの整理
2)データの記録
3)現物を見て分類する
4)あらゆる視点・角度から層別を行う
1)過去データの整理
過去データの整理というのは、製造過程から検査したデータの収集までのありとあらゆるデータの履歴を必要な時に参照できるようにしておきます。
誰が、いつ、どこで、どの設備で、何を使って、どのようにして測定した結果なのか、5W1Hが明らかになるような方法で工程を流します。
2)データの記録
記録用紙を用意し、効率よく記載を行う。
3)現物を見て分類する
3現主義をもとに直接状況を把握し、分類することも大切です。
例えば「形」「長さ」「外観」などをまとめていき、パレート図にまとめるのもいいでしょう。
4)あらゆる視点・角度から層別を行う
他のQC7道具を用いて層別の関係を調べるとき、層別の違いが表れるまで、何通りも・何度もあらゆる角度から層別を行います。
このように粘り強く問題の原因に突き当たるまで取り組むことも大切になります。
層別の手順
層別のステップは大別して4つに分類されます。
1)問題・ゴールの明確化
2)項目の決定
3)データをとる
4)解析・原因の追究
問題・ゴールの明確化
初めにゴールを設定し、どのようなデータを取るかを決めます。
例えば作業効率・コスト・不適合品率など、問題の明確化を行います。
項目の決定
どのように層別するか、層別項目の決定を行います。
例えば原因として考えられる項目をリストアップしていき、その中から、データの変動に大きく影響していると思われる項目に着目しデータの分類を行っていきます。
データを取る
データを取る際はQC7つ道具のチェックシートを活用していきましょう。
チェックシートに作業者名や設備名、日時などの調査条件を記録しておくことにより、データを取り終えた後の層別が簡易的に行えます。
解析・原因の追究
集まったデータを活用して、以下の3ステップで原因を追究していきます。
①ヒストグラム・パレート図などを用いて違いを見つける
②重点指向に基づいて大きな項目に着眼しさらに原因の深堀を行う
③層間に差が無いときは他の項目に着眼して再度検討を行う。
パレート図の層別
層別とパレート図を組み合わせ、層別の仕方を変えてみると、違いが明確に表れ対策が立てやすくなります。
下の図(例)を見てみると、全体的なパレート図は項目「あ」「い」が大きな割合を示しており、あたかも重点的な課題であるかのように思えます。
しかしいざ層別してみるとグラフの項目間の大きさはほぼ一定であり、問題がないことが分かります。
例えば機械別に層別することによって、機械ごとの重点順位の差異などの発見につながります。
ここでも項目としては4Mを軸として挙げる事が多いので、「作業者別」「材料別」などいずれかの項目の分布がおかしいときは疑いましょう。
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散布図の層別
打点した時、いくつかのグループ別、傾向別に分けられそうなときは、そのブロック別に分けられそうなときは(設備・作業者)層別を行います。
層別する事により、以下二つの傾向が分かります。
【層別で分かる事】
①全体としては相関なし、層別すると相関あり
②全体としては相関あり、層別すると相関なし
①全体としては相関なし、層別すると相関あり
②全体としては相関あり、層別すると相関なし
上にあるグラフは全体としては相関はないように見えますが、層別すると相関が生まれる事が分かります。
上のグラフは色別で示しているので全体としても相関関係があると思いますが、同一色だ
と分かりずらいので見落とし注意になります。
一方こちらのグラフは色別すると明らかに相関があるように見えますが、実際層別してみるとこの散布図は「無相関」であることが分かります。
以上の事から、
まとまっている≠相関がある
の考えはミスを招くので、「正の相関」「負の相関」があるのかしっかり吟味していく必要があります。
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ヒストグラムの層別
パレート図と同様に、層別を行うことで、ヒストグラムも真の原因を追究できます。
ヒストグラムには規格が設けてあり層別を行うことで規格に収まった正常なヒストグラムを示す必要があります。
図を見てみると全体としてはふた山型のヒストグラムであり、層別が必要なのが分かります。
実際に層別をして見ると、お互い上限規格・下限規格に寄っており、各条件下でグラフを中心に寄せられるようなグラフを意識すればいいのが分かります。
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層別とQCストーリーの関係
QCストーリーは問題解決を手順化したもので、8つのステップに分類され、層別が適応されるステップは「現状把握」「要因解析」「効果の確認」です。
この3か所で活用するのが層別であり、QCストーリーの根本的問題を把握することは勿論、異常発生の確認がスムーズに行われます。
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QC検定の対策
最後にちょっとしたおまけ問題を載せておきます。
もし下のグラフのように上限規格がちょうど層別する箇所だったら、不適合品は発生すると思いますか?
答えは不適合品は発生するです。
層別するから片方は出ないんじゃ?と思うかもしれませんが、QC検定ではこういった問題では細かい数値までは表記されません。
なので断言できないので発生するを選ぶのが無難となります。
まとめ
・層別=分ける事
・分けることで相関が生まれたり規格内に収まったりする。
・「問題で二つのグループ」など分別できそうな文章なら層別確定
いかがでしたか?今回は「層別」についてご紹介しました。
層別はいろんな分野で使いまわされます。
層別=分ける
基本的な事ですが本当に重要な事です。
次回は時間がない人向けのQC7つ道具の優先順位TOP3についてです。
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