ものづくりを安心して行うためには徹底した品質の確立をする事が大切となります。
この品質の確立を実現するためには、製品の高い品質を管理する必要があります。
その管理に活用されるのが「管理図」となります。
ものづくりにおいての理解は勿論、QC検定3級の山場である管理図を徹底的に理解が深まる記事を作成してみました。
前回の記事では二項分布についてまとめています。興味ある方は是非↓↓↓
二項分布とは捨て問です!QC検定3級の二項分布について分かりやすく解説。
QC検定を受験するうえでは必ず皆が敬遠すると言っても過言ではない分野。 それが「二項分布」です。 二項分布は簡単に行ってしまえば確率ですが、出題者の気分次第で難易度は激変します。 今回の記事では「二項分布が捨て問」である理由を徹底的に考察していきたいと思います。 完全主観ですがあながち間違ったことは述べていないと思いますので、一つの参考材料としていただけたら幸いです。 ...
管理図とは
管理図とはデータのばらつきが「偶然によるものか」、「異常によるものか」を把握するためのtoolです。
簡単にまとめると以下のようになります。
【管理図とは】
時系列的にとらえた特性値の動きを折れ線グラフに表し、管理線(基準)を記入したグラフの一種
時系列的にとらえた特性値の動きを折れ線グラフに表し、管理線(基準)を記入したグラフの一種
また管理図にはプロセスが安定状態にあるかどうか調べる「解析用管理図」と毎日のデータからプロセスの異常を見つける「管理用管理図」があります。
この2種類でどちらが実務の使用頻度が高いかと言うと、後者の管理用管理図です。
もし前者の解析用管理図の頻度が多いとき、その工程は異常だらけでかつ全く改善されていないことを指すので、早急な工程改善が必要とされます。
管理図の見方・使い方・目的
管理図には明確な目的があり、その目的を達成する為には正しい見方と使い方が求められます。
【管理図のメリット】
時間経過による工程変化を把握
管理状態に置かれているかの把握
管理図を活用して工程の維持管理が可能
異常対処後の理解が容易
この中で重要目的として挙げるのであれば以下になります。時間経過による工程変化を把握
管理状態に置かれているかの把握
管理図を活用して工程の維持管理が可能
異常対処後の理解が容易
- 工程が安定状態にあるか調査する。
- 工程を安定状態に維持・保持する
つまりこれらを折れ線グラフで表した図の事を管理図と言います。
「工程が安定状態にあるか調査する」というのは要約すると、「規格限界」を見つけることが出来ます。つまり単純に規格内なら「合格」規格外なら「不合格」というのを示しています。
そして「工程を安定状態に維持・保持する」というのは、「管理限界」を維持することが出来ます。
プロットした点が管理限界の外に出たり、点の並び方に癖があったりすれば、
異常と判断し、原因を取り除くことになります。
この管理限界を示す基準として以下の二つの基準線を設けます。
- 上方管理限界線
- 下方管理限界線
これらの線を用いて、特性値などの管理すべき数値をプロットしたときに、その点が限界線の内側にあり、点の並びに傾向がなければ、
工程が安定な状態
ということになります。
ここでQC検定3級の管理図に触れていくと、QC検定3級の管理図はもともとQC7つ道具の一つとして扱われてきました。
しかし第20回から、その枠組みから外れて、大項目として扱われています。
確かにボリュームがある単元だからと言うのも理由かと思いますが、一番の理由としては実務的に品質の維持に役立つから理解を深めてほしい。と言う意味合いも込められている気がします。
受験者目線でいうといい迷惑ですが、、
管理図の種類
QC検定3級で出題される管理図は以下の3種類とされます。
- X(-)-R管理図
- p管理図
- np管理図
*X-R管理図ですが本当はxの上にハイフンが来ます。
何故か文字化けしてしまうのでX(-)で対応させていただきます。
さてこれら3つは各々管理する項目が異なります。
【X(-)-R管理図】
平均値と範囲の関係を示す管理図
【p管理図】
不良率の管理図
【np管理図】
不良個数の管理図
平均値と範囲の関係を示す管理図
【p管理図】
不良率の管理図
【np管理図】
不良個数の管理図
またこれらには一つルールがあり管理対象が指定されています。
【計量値】X-R管理図
【計数値】p管理図
【計数値】np管理図
これらを図表で示すと以下のようになります。
管理図ごとに管理対象が異なってくるので気を付けましょう。
計量値・計数値についてまとめています。興味ある方は是非↓↓↓
計量値と計数値の違いについて考える。QC検定攻略
データとはひとくくりに言っても重さや長さと不適合品数は属するデータが異なります。 データには品質特性を表すものや、単位を表すものなど様々であり、意外とあやふやになりがちです。 そこで今回の記事はデータのとる目的から母集団やサンプルについてまとめてみました。 はじめに、そもそもなぜデータを取るのかというところから触れていきたいと思います。 データとは? ...
管理図の種類
QC検定3級で出題される管理図は大別して3種類あります。
・X(-)-R管理図
・p管理図
・np管理図
これらの特徴について簡単にまとめていきます。
各計算については後半でご紹介いたします。
X(-)-R管理図
計量値で工程を管理する時に用いる管理図です。
群ごとの平均値(X)と範囲(R)をもとめ、「X(-)管理図」、「R管理図」を別々にプロットします。
QC検定ではX(-)-R管理図の問題で
「X管理図」=管理図上方
「R管理図」=管理図下方
に示されていますので、間違えないようにしましょう。
X管理図は工程平均(群間)、R管理図は群内のばらつきにより示され、これらを求める一組のサンプルの事を群と言います。
またこれに付随して一組が何個の大きさからなっているかを示すものを群の大きさと言います。
この時、群の大きさは2~6個ぐらいが妥当とされています。
p管理図
不良率(p)で工程管理する場合に使われる管理図です。
管理対象は不良率なので計数値という事になります。
下のnp管理図とは異なりサンプルの大きさが考慮されません。
np管理図
不良個数(np)で工程を管理する場合に使われる管理図です。
p管理図同様に不良化数が管理対象なので計数値という事になります。
またp管理図とは異なり、サンプルの大きさが一定の場合にのみ適用されます。
管理図に用いる用語
QC検定3級を乗り越えるうえで重要な語句を説明していきます。
意味を理解していないと間違った解釈に繋がりますので、語句の理解は深めておきましょう。
中心線
中心線の略称は以下のように表します。
CL=Central Line
Centralという名の通り中心、つまり平均値を示します。中心線は点線ではなく実線でのみ示されます。
管理特性
管理特性の略称は以下のようになります。
CC=Contorol Characteristics
工程などの管理の際に用いる特性値です。
工程の良し悪しを表す特性値の事で例としては「不適合品数」「不適合品率」が挙げられます。
管理限界線
中心線の上下に示されたものであり、以下の二つに分類されます。
・上方管理限界線
UCL(Upper Control Limit)
・下方管理限界線
LCL(Lower Control Limit)
上記二つはともに中心線から、
標準偏差の3σ
の幅を取るとされています。ここはあまり深く考えすぎず、標準偏差の3σというのだけ覚えましょう。
群(k)
サンプリングされたデータを示します。
例えば時間、ロットごとに示されることが多いです。
サンプルサイズ(n)
群の大きさを示します。
R管理図の下方限界線を見定めるのに必要な情報となります。
QC検定3級の管理図攻略ポイント①
さてここまでかなりの情報量でしたね。
どれも重要で厳選するのが困るというのが正直なところです。
厳選するにあたって、基礎の「き」である管理図の目的などは割愛します。
・X(-)管理図
工程平均(群間)を示し、品質特性は計量値を示す。
・R管理図
範囲(群内のばらつき)の変化を示し、品質特性は計量値を示す。
・p管理図
不良率(p)で工程を管理し、品質特性は計数値を示す。サンプルの大きさの影響は受けない。
・np管理図
不良個数(np)で工程を管理し、品質特性は計数値を示す。サンプルの大きさは一定である。
工程平均(群間)を示し、品質特性は計量値を示す。
・R管理図
範囲(群内のばらつき)の変化を示し、品質特性は計量値を示す。
・p管理図
不良率(p)で工程を管理し、品質特性は計数値を示す。サンプルの大きさの影響は受けない。
・np管理図
不良個数(np)で工程を管理し、品質特性は計数値を示す。サンプルの大きさは一定である。
まとめてみると上記のようになります。
QC検定の試験でよく問われるところは、
・X(-)管理図は( )の変化を、R管理図は( )の変化を示す。
・管理限界線は中心線から( )倍の幅を取る。
群間・群内と言うのはあまりなじみがない言葉なので覚えづらく、知識が管理図ごとに混在しやすいので注意しましょう。
二つ目は「3σ」についてです。
すでに品質管理に携わっている人は3σは基本ですが、品質管理の経歴が浅い人は一瞬戸惑う問題になります。
この単元以外でも「3σ」は登場するので覚えておきましょう。
最後に穴埋めではなく、計算問題の中で、どの公式を使うのか忘れてしまう事があると思います。
そんな時目印となるのが、
サンプルの大きさ
です。ここを押さえておかないと、p管理図とnp管理図で混乱してしまいます。十分気を付けましょう。
X(-)-R管理図の作り方
工程平均を示すX(-)管理図と範囲を示すR管理図の作り方をご紹介いたします。
何故この二つはセットなのかというとQC検定ではたいていデータ表をもとに解いていきます。その時これら二つはセットで出てきます。
またX管理図を求めるときにR管理図の値を使用するためです。
作り方を説明するにあたってまず初めに管理線の公式から触れていきたいと思います。
X(-)-R管理図の管理線
(1)の式は群ごとの平均値を求める式です。
gは何を指すかといいますと単純に群の番号として置いています。
その群の値を合計した数値をサンプルサイズで割った値が群ごとの平均値となります。
(2)の式は(1)で求めた群の平均値の合計を群の数で割ったものです。
これによりxの中心線が求まります。
(3)の式は各群の範囲を求める式となります。
その群のサンプルサイズの最大値から最小値を引くことで求まります。
(4)の式は(3)で求めた各群の範囲の合計を群の数で割ったものとなります。
これによりRの中心線が求まります。
さて上の表を用いて解説していきます。
まず(1)を求めるには群の合計した数値とサンプルサイズを見ます。
例えばX2を求めたい場合、
群2の合計値 =9
サンプルサイズ=3
9/3=3
これが群2の平均値となります。
そして(2)を求めるには、群の平均値合計値と群の数を見ます。
群の平均値の合計は平均値の一番下の値となります。
群の平均値の合計=13
群の数 =5
13/5=2.6
これがxの中心線(CL)となります。
次に範囲(R)について触れていきます。
(3)を求めるには群のサンプルサイズを見ます。
例えばx2を求めたいとき、
Xmax-Xmin=5-1=4
これが群2の範囲となります。
最後に(4)を求めるには、範囲の合計と群の数を見ます。
範囲の合計は範囲の一番下の値となります。
範囲の合計=14
群の数=5
14/5=2.8
これがRの中心線(CL)となります。
基本試験では表を用いて求めることが多いので公式を覚えていなくても意味さえ理解していればなんとなく解くことが出来ます。
X(-)-R管理図の管理限界線
管理限界線とは工程が安定状態にあるかどうかを定めるためのボーダーとして用いられます。
管理限界線には、以下の管理限界線があり中心線から標準偏差の3σの幅を取ります。
・上方管理限界線
・下方管理限界線
これら限界線にはX管理図、R管理図ともに公式があるので早速紹介していきます。
X(-)管理図
A2は群の大きさnによって決まる値となります。
試験でも値は記載されているので暗記しなくてOKです。
R管理図
D3、D4は群の大きさnによって決まる値でX-R管理図用係数表より求まります。
こちらも値は記載されていますので暗記しなくてOKです。
またnが6以下の場合はLCLは考えないとされています。
引っかからないようにしましょう。
p管理図の作り方
p管理図、np管理図ともに√が登場します。
これらの章は暗記しかないので要点のみまとめていきます。
p管理図の管理線
p管理図の管理線は記号より言葉のほうが分かりやすいので、言葉でまとめていきます。
・中心線(CL)=不良個数の総和÷検査個数の総和
p管理図の管理限界線
管理限界線では√が登場しますのでそのまま公式を載せます。
np管理線の作り方
こちらも√が登場します。
p管理図と似ているので注意しましょう。
np管理図の管理線
p管理図と同様に言葉で表していきます。
・中心線(CL)=不良個数の総和÷群の数
np管理図の管理限界線
式を見ていただければご理解いただけると思いますが、p管理図の中心線が求まらないと求められないようになっています。
そのためnp、p管理図共にセットで覚えましょう。
QC検定3級の管理図攻略ポイント②
やっとここまでたどり着きました。。
試験攻略ポイントですが公式を覚えるというのは抜きにしてまとめていきます。
公式は基本なのでしっかり覚えましょう。
【攻略ポイント】
1)公式がデータ表のどこを指すのか理解する。
2)R管理図のLCLにおけるD3のひっかけに注意
3)np管理図は不良個数の総和を検査個数で割ったもの
4)p管理図は不良個数の総和を群の数で割ったもの
5)管理図すべて覚えきれないときはX-R管理図のみ覚える
1)公式がデータ表のどこを指すのか理解する。
2)R管理図のLCLにおけるD3のひっかけに注意
3)np管理図は不良個数の総和を検査個数で割ったもの
4)p管理図は不良個数の総和を群の数で割ったもの
5)管理図すべて覚えきれないときはX-R管理図のみ覚える
特に重要な個所はこれらになります。
まず1)から解説していきます。
1)の公式がデータ表のどこを指すかを理解するというのは、試験では穴埋めで数値を選ぶ問題が出題されたりします。その際公式を覚えていても表のどこを指しているのかわからなければ、そもそも解けないのでそこは把握しておきましょう。
また「Xの中心線(CL)を求めよ」という問題があったとして、たまにそのまま答えが載っていることがあります。
表の意味をしっかり理解していればサービス問題なので両者ともに理解は深めましょう。
2)のD3のひっかけに関してですが、極論言えばこの事を聞かれたら、
「LCLは考えない」
というのを選択しましょう。
いちをサンプルの大きさを確認した方がいいですが、ほぼこのことを出題者側も理解しているか聞きたがります。
3)、4)はそもそもp管理図とnp管理図は公式が似ていますね。
公式を用いた計算問題はほぼ出題されませんが、「検査個数」か「群の数」かというのは問われます。
覚えきれない!という方は
p管理図=群の数
で覚えましょう。
5)の管理図の厳選ですがなぜX-Rのみでいいのかというと、X-R管理図は問題がよく出題されるからです。
この背景には表を用いた大問として出題しやすいからだと考えられます。
どうしても覚えきれないという方は厳選してしまいましょう。
まとめ
・各管理図の特徴は確実に押さえる
・その中でも3章で紹介したポイントは最重要
いかがでしたか?
今回の記事では管理図についてまとめてみました。
次回はシューハート管理図についてです。それでは!
たった8個のルールだけ~シューハート管理図のルールを徹底解説~
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