製品やサービスにおける、設計や開発のプロセスを確立し実施する事、そしてそれを維持していくにはどういったことが求められていくのでしょうか。
これらを計画し実施して得られた結果をレビューするDRとはどういった役割を持つのでしょうか。
今回は設計審査(DR)について例なども含めて解説していきます。
前回の記事では品質保証体系図と目的についてまとめています。興味ある方はぜひ↓↓↓
品質保証体系図と目的について考える。QC検定攻略
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設計・開発のレビュー(DR)とは
ー設計・開発のレビュー(DR)とはー
設計や開発した際の結果が、顧客要求または組織が定めたサービスや製品の要求事項を満たしているかどうかを評価し、問題が発覚した際に処置の提案を行う事
設計や開発した際の結果が、顧客要求または組織が定めたサービスや製品の要求事項を満たしているかどうかを評価し、問題が発覚した際に処置の提案を行う事
以上の事を要約してDR(デザインレビュー)の目的をまとめると以下のようになります。
DRの目的とは
要求事項を満たす能力を評価する
レビューとは
目的や目標を成し遂げるための対象物における、整合性や有効性を決定するために行われる活動を言う
注意点としてはこのレビューと言うのは何の根拠もなくただ思い付きで実施するのではなく以下10個の基準にそって実施することが求められます。
設計・開発の計画
組織は設計開発の管理を決めるとき10個の基準を意識していく必要があります。
ここで登場する「考慮」という言葉は熟考するなどの意味合いではなく、「調査・分析した結果を参考に、組織の詳細などから実施しなくてもいい判断を下す事」です。
設計開発の性質や期間・複雑さ
製品の構造やサービス形態が複雑な状況においても、期間は厳守することを常に念頭に置きます。
またその性質が0からのものなのか、単なる変更なのか過去にあった設計や開発なのかといった性質について考慮しなければなりません。
デザインレビューの考慮
組織として信頼のおける設計開発を行うために、適用されるDRをを計画し、求められる設計開発のプロセスを段階的に考えていきます。
設計開発の検証・妥当性の確認
組織として信頼のおける設計・開発を行うために、重要とされる設計・開発の検証・妥当性の確認を行います。「5W1H」
設計開発プロセスの責任・権限
簡単に述べると人権保護に近いです。つまり製品サービスの開発設計に携わるグループ・個人における責任や権限というのを考慮することです。
内外部資源の確保
そもそもの設計開発というのを「誰」にお願いするかを考慮します。ここで言う「誰」とは自社における担当部署に任せるのか、それとも外部の委託が必要がどうかを考慮することです。
関係を管理する必要性の考慮
部門間の関係を管理することは勿論、外部提供者と関係の管理を考慮していきます。
関係管理することで効果的なコミュニケーションや責任の明確化を確実にします。
ポイントとしては大人数が関わるプロジェクトとしては「5W1H」意識して、「どんな事を、いつ、どのように、誰に」など決定しておきましょう。
顧客参画が必要か見極める
これまでの段階において、自社だけで解決するのではなく、顧客側の技術者などの参画か必要かどうかを判断します。
例えば製造業においては新製品のサンプルを量産・販売するにあたり、販売先、つまり顧客側にサンプルを提供し判断を求めることを言います。
後プロセスに関する情報の考慮
設計開発を行った後、製造・検査・購買に対してどのような情報を提供するのかをピックアップして分かりやすくまとめます。
顧客の期待に応える管理レベル
顧客から期待されるニーズというのは、直接あらかじめ伝えられていれば対処はしやすいですが、顧客側がニーズを伝えず想いをため込んでしまうケースも少なくありません。
そういった事態に陥らないためにも、常に顧客の事を第一に考え「顧客第一」、またニーズ以上の何かを提供できるように管理レベルを考慮することが望ましいです。
文書化した情報の考慮
情報というのは正確に残すものでありその手段としては「文書化」することが挙げられます。
文書化は紙でもいいですが電子ファイル形式にすることでコスト削減にもつながるので、用いる形状はその都度、目的に合わせて変えていくのが良いでしょう。
また何でも文書化するのではなくインプット・アウトプットの管理に関してどのような文書化した情報が必要かを考慮していく事が大切です。
設計・開発プロセスで管理すべき事項
前項まででインプットに基づいた設計・開発の各段階における達成しなければいけない結果と、最終的な結果を比較し整合性の管理を行います。
この整合性を確かめるために6つの管理を行います。
・結果の選定
・能力のレビュー
・検証活動
・妥当性の確認
・処置・対策
・文書化した情報の保持
設計開発における結果の選定
結果の選定というのは「達成すべき結果を決定すること」です。
計画したプロセス段階でアウトプットが、その段階で達成すべき結果をきめて管理します。
この時の結果は出来るだけ効率よく進んでいく道筋を立てるのが望ましいです。
設計開発における能力レビュー
計画されたアウトプットが前段階の定めた結果の要求事項を満たす能力があるのか評価するためにレビューを行います。
つまりこの能力を評価するのがデザインレビューです。
設計開発のインプットが要求事項を満たしているかどうかを判断します。
設計開発における妥当性確認
アウトプットの結果が意図した用途に応じた要求事項を満たしているか確認します。
確認方法として実際使用した際の結果から要求事項を満たしているかどうか確認します。
設計開発における処置・対策
これは明確になった問題・課題に対して処置行動を行うことです。
デザインレビュー(DR)を実施した際に、問題が発覚したとき、その問題をどういったアプローチで対処していくのかを決定し、必要な処置を行います。
文書化した情報の保持
今までの結果・記録を保持します。
この時どういった情報の保持をすべきかと言うと、例としては「管理事項と結果の記録」「処置の記録」これらが挙げられます。
デザインレビュー(DR)の参加者
設計開発のレビュー(デザインレビュー【DR】)は設計開発に関する部門のみで行う内容ではありません。
DRは品質保証部門・サービス部門・製造部門・購買部門・営業部門・マーケティング部門など様々なバックグラウンドの知識を持った要因が参加することが望ましいです。
関連部門が参加する理由とは
当事者のみのレビューを行ってしまうと思い込みや先入観が払拭しきれず、見落としの原因となる可能性がある。そこで客観的な視点で意見を言える、また異なった経験による多様的意見の活用をすることで適切性・有効性の判断を行う。
またこの時のレビューと言うのは単に記録を取るだけでなく、どのような処置が取られてどのようにまとまったのか、その結論も細かく記載しておきましょう。
設計審査(DR)と現場の関係
さてここからは設計審査と現場の関係について触れていきたいと思います。
この関係について触れていく前に「現場とは物の作りやすさを発信する情報源」という事について述べていきます。
まず第一に現場とは「会社の問題が一番浮き彫りになる場所」というのはご存じかと思います。
ものづくりは大きく分類して「企画→開発設計→購買→加工組立→検査→出荷→販売」という流れが出来ています。
この中でどの部門が問題が発見されやすいかというと間違いなく製品に一番近い作業を行う製造現場となります。
逆を言えば現場から情報(作りやすさ)の要求を開発部門や生産技術部に要求することで全社的なものづくりに対する意識の連携が図れるとともに、製品のリアルを共有し改善の質が向上します。
さてこの要求や情報の共有というのはどのようにして行われるのでしょうか?答えはこの記事の根幹であるデザインレビュー(DR)です。
デザインレビューは様々な関連部署が意見を共有しあう場所であり、製造部門が参加することにより開発設計の段階で機能や作りやすさも考慮した開発設計を行うことが可能となります。
ちなみにこの狙いの流れは「コンカレント・エンジニアリング」と言います。
コンカレント・エンジニアリング
物事を並行して行うことで開発設計から無駄なく量産に入ることを可能とする、最短期間でQCDを狙う方法
設計審査(DR)を最大限活かすには?
DRは資材・営業部門と言った普段疎遠な関係部門が集まり、それぞれの専門分野の客観的視点で開発・設計内容を確認します。
つまり判断を受けるのは開発設計者で判断を下すのは製造部門となります。
また関連部門内でジャッチが決まったら会議終盤にて次のステップに進んでいいのかのジャッチを部課長クラスの人に行ってもらいます。
部課長レベルになると「経営」に近くなるのでより現実的な判断が下されることになります。
DRの効率的活用
DRの効率的活用
DR後に重大な問題が発見された時、DRを再度行うことで量産を開始してから問題に対処するより、その一歩手前で完成度を高めることが出来る
つまり「不具合」は前段階で徹底的に塞き止め、問題を未然に防止することがDRの効率的活用です。
製造・品質・生産技術部門からのDR参加者は「作りやすさ」に着眼した意見を行います。
例えば「加工しやすい形状か」「不具合が起きた時に対処しやすい条件になっているか」という意見が想像できます。
またものづくりにおいて「作りやすさ」「対処のしやすさ」というのは全体的な品質の向上に繋がります。
この「対処」に関連して上述のDRの効率化において「致命的問題」が発見されたとします。
そういった場合対応を検討したうえで再度DRを行うことで最終的な開発設計期間は延長されますが、実際に製造工程で量産に入ってしまってから問題を見つけて対処するより、その前段階で対処した方が効率的なのが分かります。
しかし再度DRを行うにしても、「手が付けられないレベルの致命的問題」に出くわした時、効率的に対処しきれない場合があります。
こう言った事態に陥らないためにも、「作りやすさ」や「対処のしやすさ」というのを念頭に置いてものづくりをしていく事が大切になります。
DRの重要ポイントと注意点
DRについて説明させていただきましたが、かなり有効な手段であることはご理解いただけたかと思います。
最後になりますがDRを運用するにあたり重要ポイントや注意点について述べていきます。
DRの注意点
DRは指摘のみ行う場所ではない。対策案を共有する事が最大の目的
つまり野次を飛ばして表面上のDRを行うのではなく、効果的なアドバイスを行い中身のあるDRを行う事が求められます。
例えば「この形だと加工しにくいから1から設計せよ」みたいな指摘はNGという事になります。
確かに指摘のみにおいても開発設計担当者からしたら問題点を把握できることはとても参考になると思います。
しかし「・・・問題は分かったけど具体的に何をすればいいの?」となるのが想像できます。
現場には現場にしか、営業には営業にしか分からないことがあります。
DRはせっかくそれらのスペシャリストが集結し意見を出し合う場なのに具体性のない指摘ばかりだとそもそものDRの開催意義・効果というのが無に等しくなります。
そうならないためにもDRは「前向きな議論を行い、目標や製品の完成度を高める事」を狙いにして、有意義な会議を気付いていきましょう。
まとめ
DRは各部門のスペシャリストが集いより良い製品を作っていくために行われる意見交換の場
意見は具体的に、そして前向きな議論を意識する
いかがでしたか?
今回は設計審査(DR)についてまとめてみました。
次回は品質管理の検査の目的についてです。それでは!
検査の目的とは?品質管理にける重要な検査とヒストグラムとの関係にも触れていく
品質管理に携わるうえで、製品を検査することや異常を発見し後工程やお客様に不良品を渡さないことはとても重要な事であり、その製品の検査の正確さというのは企業の信頼へと繋がります。 検査にも様々な種類があり、代表的なものとしては「受け入れ検査」「工程内検査」「出荷検査」などがあり、その中には「全数検査」や「官能検査」「破壊検査」などがあります。 ...
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