工程で検査を行うとき、製品すべてに検査を行う「全数検査」が最も異常品の流出が少なく、流出数だけで見れば最善の手段といえます。
しかし多くの場合、この全数検査を全面的に実施する事は少なく、複数の検査方法を組み合わせて検査を進めていきます。
なぜ組織は不良品の流出を防げる全数検査を全面的に実施しないのでしょうか。
今回は全数検査の目的・特徴・メリット・デメリットについてまとめていきます。
検査のポイント
自社で手掛けた製品に問題がありそれが市場に流出した時から、それは問題として扱われます。これを未然に防ぐために「検査」を行い不良品の市場流出を防ぐ必要があります。
ー検査とはー
サービスや製品において測定・検査などを行い、規定要求事項(ISOの基準)と比較して、適合・不適合を判断する活動
サービスや製品において測定・検査などを行い、規定要求事項(ISOの基準)と比較して、適合・不適合を判断する活動
また上記の「適合」が示すものは規定要求事項を満たしている事であり、満たされているものを「適合品」、満たされていないものを「不適合品」といいます。
検査の実施対象は大別して以下二つとなり、判定対象も異なってきます。
・製品 :適合品・不適合品
・ロット:合格・不合格
ここで検査の目的について触れていきます。
検査の目的とは
安定かつ優れた品質を顧客に提供するために、製品が基準内に収まっているか評価し、その評価を関連部署にフィードバックを行い、工程改善につなげる事
検査というのは単に検査を行って「適合・不適合」、「合格・不合格」を提示するのが目的でなく、検査を行うことで核心である不良の流出を防ぐことが第一の目的となります。
検査の分別
検査を行う時に重要なのは、その時のニーズに合った検査方法を的確に選択し、正しく活用していく事がポイントになります。
上記を正しく活用していく事で、不良品の発生を抑制したり、異常品の市場への流出を防いだり、他工程からの信頼、市場からの信頼を得ることが可能となります。
この検査方法の種類は大きく分けて3つに分類され、さらにそこから細分化していきます。
大別すると「生産プロセス」「判定方法」「実施方法」のつに分類され、そこから「受け入れ検査」「官能検査」「全数検査」と言うように細分化されます。
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今回の記事では実施方法の枠組みの中の「全数検査」についてまとめていきます。
全数検査とは
【全数検査とは】
ロット内のすべての検査単位について行う検査の事
ロット内のすべての検査単位について行う検査の事
つまり検査単位をすべて調査し、適合か不適合かを判定する事が全数検査になります。
検査にはかなりの労力と手間がかかる一方、限りなく「不良0」に近づける方法であり、製造における品質を保証する観点からすれば、理想の検査方法と言えるでしょう。
全数検査とよく比較されるのが「抜取検査」ですが、労力を抑制できる変わりに、不適合品の混入は避けれれません。
本記事では全数検査を行う場合にのみ着眼していきます。
全数検査のメリット・デメリット
一見理想の検査方法と思える全数検査ですがその特徴とはどういったものなのでしょう。
全数検査におけるメリット・デメリットを簡単にまとめていきます。
全数検査のメリット・デメリット
全数検査のメリット
1)異常品・不良品の発生を抑制できる
2)全数検査できる
3)判定ミスがほぼない
全数検査のデメリット
1)検査費用が高い
2)検査時間がかかる
3)労力を要する
1)異常品・不良品の発生を抑制できる
2)全数検査できる
3)判定ミスがほぼない
全数検査のデメリット
1)検査費用が高い
2)検査時間がかかる
3)労力を要する
まさしく一長一短といった所です。
これらメリット・デメリットを補う形で、抜取検査が活用されていきます。
つまり全数検査を行うべきところを正しく認識し、活用していく事で、このデメリットを押さえることが出来ます。
また必ず全数検査を行うべきところというのもあり、大きく分けて3つのケースに分類されます。
ケース①:命にかかわる場合
ケース②:工程が安定していない場合
ケース③:損失金額>検査費用
全数検査を必ず行うケース①
命に係わる検査は、他の検査と比較できないほどデリケートな問題です。
例えば自動車などの命に直結する場合はそもそも規格が厳重(3σ→6σなど)になったりします。
機械による全数検査ならまだ漏れは少ないですが、人間の五感で検査を行うとき100%不適合品の付き合っていく事になります。
そのため、機械を利用しないとき、人員の増員や体調の管理には気を付けなければいけません。
出来れば自動化を行い設備の精度を向上していく事が望ましいです。
全数検査を必ず行うケース②
工程が安定していない場合抜取検査や他の検査を利用しても全く意味がありません。
工程が安定している製造能力を100としましょう。
安定した設備でも不良品は発生し、これが仮に工程が安定しておらず、製造能力が60の設備だとしましょう。
100の物から作るのか、60の物から作るのか。
答えは明白です。
これら60の能力しかない設備から抜取検査を行っても、むしろ不合格の品が増えるだけで、使えないものの量産に繋がります。
よって出来立ての設備・不適合品がそもそも多い設備は全数検査を活用し、選別していく事が重要です。
全数検査を必ず行うケース③
不適合品の発生時やクレーム時におけるコストより、全数検査を活用する際の費用の方が低い場合は全数検査を全面的に実施するべきです。
全数検査は確かな品質を保証する代わりに、人件費・労力・コストなど多くのデメリットを抱えています。
しかし、これらデメリットより損失の方が多いのであれば利用しない手はありません。
もし全数検査を継続して行い不良の発生を抑制できたのであれば、その後も継続していき不適合品の発生を最小限にとどめて、損失額を減らしていきましょう。
まとめ
・全数検査は一長一短
・抜取検査と併用していく
・全数検査の正しい判断をする
いかがでしたか?
今回は全数検査についてまとめてみました。
次回は抜取検査についてです。それでは!
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