組織のパフォーマンス改善に向けて導いていくためには、トップマネジメントが重要となります。
このトップマネジメントの中でも品質に関するマネジメントを品質マネジメントシステムと呼びます。
品質マネジメントというと少し硬いイメージとなり、敬遠しがちですが、本記事では品質マネジメントについて誰でも分かりやすいように解説していきたいと思います。
品質マネジメントシステムとは
ISO規格で定義されている品質マネジメントシステムとは、「品質に関するマネジメントシステムの一部」と定義されています。
ここで言うマネジメントシステムとは「方針・目標及び目標を達成する為のプロセスを確立するための相互に関する・または相互に作用する組織の一連の要素」を指します。
これらをまとめると以下のように定義できます。
品質マネジメントシステムとは
品質に関する品質計画、品質目標を達成できるプロセスを確立するための、相互作用をする組織の一連の要素
品質に関する品質計画、品質目標を達成できるプロセスを確立するための、相互作用をする組織の一連の要素
また品質マネジメントシステムには基本的な考えである、品質マネジメントシステムの7原則というものがあります。
品質マネジメントシステムの7原則
品質マネジメントシステムには以下7つの基本的思考に分類されます。
・顧客満足
・リーダーシップ
・人々の参画
・プロセスアプローチ
・継続的改善
・客観的事実に基づく意思決定
・供給者との相互関係
顧客重視
組織は営利目的で活動していく限り、関わる顧客に依存しているので、現在の顧客ニーズの把握は勿論、未来の顧客ニーズも把握し顧客要求事項を満たしていかなければいけません。
また顧客の期待を満たすだけでなくその期待を超えるような、製品・サービスを提供するように努力しなければいけません。
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リーダーシップ
組織のリーダーは目的と方向のバランスを図らなくてはいけません。
リーダーは働く人が組織の目標を達成する事に参画しやすい内部環境を構築し維持しなければいけません。
人々の参画
階級関係なく組織内のすべての人を尊重し、一人一人の貢献することの大切さを理解してもらうためコミュニケーションを図り、貢献を認め合い技量・力量を向上させていきます。
つまり組織の実現能力を強くするためには、積極的な参画を促進させることが重要となります。
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プロセスアプローチ
活動を軸としたその関連する、経営するうえで利用可能な資源と業務が一つのプロセスとして管理される時、望ましい結果が効率的かつ効果的に達成されるという事。
継続的改善
組織は顧客ニーズを確実に形にしていくために、パフォーマンスの継続的な維持管理・改善活動を永遠の目標とします。
単に目の前にある問題を解決していくのではなく、他にも「効率的な解決手段はないか」というのを模索しつつ、改善していく事が重要となります。
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客観的事実に基づく意思決定
信頼され、効果的な意思決定は客観的な事実や情報の評価に基づいたものとされています。
勘・経験を重視するのではなく客観的事実を重視していく事で誰もが納得する意思決定に繋がります。
客観的な事実に基づいた意思決定は要約すると数値データの「計量値・計数値」を利用していく事で誰もが納得する信頼できる意思決定を下すことが可能となります。
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供給者との相互関係
組織は活動していくうえで自社と関連する利害関係者との関係を維持していかなくてはいけません。
また維持のみでなく、関係をマネジメントする事で持続的成功につながるとされています。
品質マネジメントシステムの要求事項
ISO9001では組織が顧客要求事項やその要求に適用される規制要求事項に当てはまる製品を提供する力を有していく事を証明しなければいけない時、もしくは顧客満足の向上を目指す場合の以下のような要求事項を規定しています。
1)品質マネジメントシステム
2)リーダーの責任
3)資源の効率的運用
4)製品実現
5)測定・結果の改善
品質マネジメントシステムは一般要求事項と文書化に関する要求事項に分類されます。
経営者は組織を先導していく身であるため、顧客重視・品質方針・プランニングなどの活動を責任をもって果たしていく必要があります。
また自社がどのような作業環境で、どのよな資源を提供し管理しているのか把握しておくことも重要となります。
資源の管理だけでなく顧客関連のプロセスや製品実現の計画、設計開発・製造のサービスの提供まで確実に視野にいれ、測定機器の管理も行っていきます。
また管理した結果どのような改善が必要とされているのか分析していく事も大切となってきます。
品質・製品の要求事項
ここまでの記事では品質マネジメントシステムの要求事項はISO9001の規格にそって規定されていることが読み取れるかと思います。
しかし以外にも製品・サービスについては規定されていません。
製品・サービスの要求事項は顧客要求事項を想定して、企業が実際に作るか、適用内の法令・規制によって決定されます。
製品・サービスの要求事項は技術仕様書などに記されることは勿論ですが、プロセス規格・契約書にも記されています。
品質マネジメントシステムは組織の目的である、製品・サービスの要求事項を満たす内容であれば顧客満足を得る事が可能となります。
品質マネジメントシステムと製品・サービスの要求事項の関係を簡単に示すと、品質マネジメントシステム(手段)が製品・サービスの要求事項(目的)を補完する関係になります。
品質マネジメントシステムのやり方
日本のものづくりでは、今まで技術者の自主性に重きを置いていました。
特に高い技術・豊富な知識量を高く評価していましたが、これらは現在の若者に引き継ぐことは簡単ではありません。
そこで現在の文明の発展をフルに生かした「見える化」を行うことで個人×個人から個人×全社の関係が構築されます。
手順書を文書化もしくは電子化、もしくは画像・動画を用いて情報を共有する事で効率的に技術を引き継ぐことにも繋がります。
こうした第三者的視点の攻めどころをISOは示しています。
品質マネジメントシステム手順
品質マネジメントシステムの手順の基本は以下の4つの手順に沿って行われます。
・確立→文書化→実施→維持
この流れは品質マネジメントシステムに限ったことではなく、多くの意思決定を下すときに活用されたりします。
上記の流れの確立とは品質マネジメントシステムの運用準備をするという事です。
準備をするにあたり運用の準備を決定しておく必要ももちろんあります。
文書化するにあたり重要なのは、適切である事を十分に確認をします。
基本的な事を挙げると「なんの文章なのか」分かりやすくまとめたり、少し踏み込んだ話をすると「媒体は何を選択するのか」なども鑑みていきます。
実施するとは決定したことを最後まで責任をもってやり遂げる事を指し、維持するとは、品質における活動の醍醐味である、維持管理・継続的改善活動の事を指します。
品質マネジメントシステムの決定権とは
ところで品質マネジメントシステムとは誰が要求事項の決定を行うのでしょうか。
外部?顧客?。
要求事項の方向性の決定・具体的な方法というのは自社で決定していきます。
この時決定するレベルとしては自社の能力の身の丈に合った方法を吟味していく必要があります。
品質マネジメントシステムとプロセスの関係
品質マネジメントシステム複数の関連要素から構成されています。
品質マネジメントシステムの要素はプロセスによって実行され、複数の機能と関連しています。
品質マネジメントシステムを効率的かつ効果的に運用・効果を上げるためには、プロセスに関連する資源・権限・手順などを一貫した方法で展開していく必要があります。
ここでいうプロセスとはインプットを元に結果を導いて、相互関係を築く一連の動作の事を言います。
どんな活動にもインプット⇄アウトプットがありこのプロセス自体にも何らかの形で関与しています。
プロセスを正しく運用していく事で、価値のある仕事を可能になる事は勿論、顧客要求事項を満たした安定した品質の製品・サービスを顧客に提供する事が可能となるでしょう。
まとめ
【品質マネジメントシステムの7原則】
・顧客満足
・リーダーシップ
・人々の参画
・プロセスアプローチ
・継続的改善
・客観的事実に基づく意思決定
・供給者との相互関係
【要求事項】
1)品質マネジメントシステム
2)リーダーの責任
3)資源の効率的運用
4)製品実現
5)測定・結果の改善
いかがでしたか?
今回は品質マネジメントシステムについてまとめてみました。
それでは!
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